MTG デッキ構築 クリーチャー考察 その3

システムクリーチャーの性能について。
この記事の内容も参照のこと。


能力ごとのクリーチャー

システムクリーチャーを、「クロック形成能力を重視せず、その能力を目当てに
利用されるクリーチャー」と定義する。

多様な能力を包括的に語るのは難しいが、デッキ構築時の指針ぐらいは導けるだろう。
ここではシステムクリーチャーを以下のように大別して考える。

  • 能力を一度しか使えないもの
  • 能力を繰り返し利用できるもの
スペル型

前者はCIP能力、自身を生贄とする起動型能力などが該当する。
このタイプは極めてソーサリーに近い性質を持ち、評価の際もその考え方で良い。
ただし、ソーサリーと比較した場合のメリットが三つほど存在する。

一つは再利用が容易であること。
一つはサーチが容易であること。
一つは戦闘に参加できること。

ただし《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》の出現によって、
再利用に関してはむしろ不利と感じるかもしれない。

さらに《適者生存/Survival of the Fittest》がレガシーで禁止されたため、
サーチについても僅かではあるが見劣りすることになった。

それでもなおクリーチャーであることのメリットは大きい。
特にクロッカーもユーティリティも欲しいクロックパーミッションでは重宝される。
強力なソーサリーやインスタントと同じ能力を持ったシステムクリーチャーは、
ひとまずは活用法を検討してみると良いだろう。
筆頭は《永遠の証人/Eternal Witness》。


パーマネント型

後者は通常の起動型能力や、アップキープの誘発能力などが該当する。

このタイプは「戦場に出したターンに即座に能力を使えること」が評価の指針となる。
当然起動コストにタップを含む場合は(速攻が無い限り)これに該当しない。
「あなたのアップキープの開始時に〜」という誘発型能力も同じ。

これは第一に除去の可能性を考慮してのことである。
能力を使用する前に除去を受ける可能性があり、加えてデッキのシステムとして
その能力に依存している場合は取り返しのつかないアドバンテージ損失となる。
《甲鱗のワーム/Scaled Wurm》が活躍できない理由に近い。

もう一つの側面としてテンポアドバンテージがある。
即座に能力を使えないということは、そのクリーチャーを戦場に出したターンは
恐らくそのまま相手にターンを返すことになるだろう。
高速化した現環境において、この「棒立ち」のターンを作ってしまうのは厳しい。
プレイングでカバーできる面もあるが、カードとしてリスクが高いことに変わりは無い。

1マナで出るような場合はこれらの内容がそこまで気にならないため、
タップ能力でもデメリットと取らない傾向にある。
各デッキが赤をタッチしてでも拾いたがる《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》が典型。


起動コスト

起動型能力のマナコストも、そのシステムクリーチャーの強弱を決める要因である。

ドローや火力のような攻撃的な能力であれ、パーマネント破壊のような防御的な能力であれ、
能力起動用のマナをほぼ毎ターン消費する or 残しておくプレイングが理想である。
言い換えれば能力起動コスト分のマナを毎ターン束縛されることになる。
例外も多数存在するが、基本となる考えはこのままで進める。

その上でテンポアドバンテージを考慮すると、コストとしては2マナが境界線だろう。
2マナでギリギリ許容ラインであり、3マナ以上の起動コストではまず使えない。

マナ以外の起動コストを持つ能力についても、同様にアドバンテージの面から考える。
ライフの支払いなどは大して気にならない。
手札の破棄もテンポアドバンテージ自体は失わない。
自身以外のパーマネントを要求するものについては次の項目で。


パーマネント依存

クリーチャーに限らず、自身以外のパーマネントに依存するパーマネントは弱い。
例外は土地に依存する場合だが、土地を生贄に捧げる場合などは難ありと見る。

相方となるパーマネントが存在しなければ能力が利用できないということは、
能力のコストにその相方の分のマナコストも上乗せされているようなものである。
また、該当パーマネントの除去によって無力化されてしまうため、
相手に一対二交換のチャンスを与えていることにもなる。

語弊の無いよう補足すると、パーマネント呪文に依存する場合はこれに該当しない。
代表例は「エンチャント呪文を唱えるたび…」のエンチャントレス能力。

パーマネントカードに依存する場合は弱く感じることが多いだろう。
大抵の場合においてデッキ構成を大きく制限されることになる。


能力とプレイコスト

ここの詳細は非クリーチャー呪文についての考察で触れる。
大まかに書くと、能力は以下の順で有効度が高い。

  • 戦場干渉能力 (パーマネント破壊、土地の拘束、etc.)
  • その他のアドバンテージ獲得能力 (ドロー、サーチ、etc.)
  • その他のアドバンテージ破壊能力 (手札破壊、墓地対策、etc.)
  • 戦闘補助能力 (クリーチャーのタップ、戦闘ダメージ軽減、etc.)

そして、1マナのシステムクリーチャーはどんなタイプの能力であれ重宝する。
2〜3マナは基準ラインで、4マナを超えると採用が難しくなってくる。